独自の資源外交でG7の対ロ経済制裁打破、ソ連崩壊のトラウマ精算
2024年12月19日に「今年の総括」との触れ込みで始まった記者会見は事実上、ウクライナに侵攻した「特別軍事作戦2022年2月24日~」の総括の場となった。ロシア国内メディアにアジア、アフリカ、米欧から500人以上の記者が参加し、4時間半にわたってテレビで生中継されたが、プーチン大統領は終始、自信にみなぎった表情で視聴者や記者の質問に丁寧に答えた。その主旨は「ロシアは本物の主権国家になった」の一言に要約される。
「私はウクライナへの『特別軍事作戦』を開始したこの3年間、冗談が少なくなり、あまり笑わくなった」と軽口を交えながら、「本物の主権国家」の何たるかをとくとくとして語った。「ロシアはこの2~3年で格段に強くなり、経済は自立し、防衛力も強化している。既にどこの国にもほぼ依存しない状態にある」と断言し、「今年はGDPが昨年より4%増え、国民の実質所得も9%伸びた」と余裕の笑みを浮かべた。それは単なる誇張ではなく、IMF予測2024年実質経済成長率は「インド7%、インドネシア5%、中国4・8%、ロシア3・6%、ブラジル3%、米国2・8%、英国1・1%、日本0・3%、ドイツ0%」と最新の統計で、ウクライナ戦争が引き起こした世界の変化を端的に示した。
それはウクライナ戦争の勝ち組と負け組をハッキリと示しており、私が『ウクライナ戦争と日本有事 “ビッグ3”のパワーゲームの中で』(2023年9月刊)で予測したことであった。理由は明確で、バイデン政権が音頭を取った対ロ経済制裁が逆に制裁参加国にブーメランとして襲い掛かり、超インフレ、金利上昇、不況の悪循環を引き起こしたのだ。「1ヶ月で片が付く」と豪語したバイデンの狙いが甘きに過ぎたということである。資本主義の癌とされるスタグフレーション再発と言うべき構造的な経済危機は米欧日に政治危機を引き起こし、ジョンソン英、バイデン米、マクロン仏、ショルツ独、岸田と政変に見舞われるウクライナ・ドミノが引き起こされていることは世界中が見ているとおりである。
一言でいえば、プーチンの勝ち、バイデンの負けである。それは米欧日資本主義が世界の政治経済の主軸からずり落ちつつあることを如実に示している。
全く想定外の展開に米欧日の論調は半パニック状況に陥っているが、ウクライナ戦争の原因と結果を混同する認識上の罠に陥っているからに他ならない。「ロシアのウクライナ侵略」と非難一色に声を合わせてきたが、それは結果論であって、原因が隠蔽されている。バイデン政権がウクライナへのNATO拡大を画策したことにプーチンが怒り、それを阻止すべく「特別軍事作戦」を断行したのがウクライナ戦争の真実である。バイデン構文はプーチンを「侵略者」「戦争犯罪人」とさんざんこき下ろしたが、トランプは「私なら起きなかったバイデンの戦争」とその嘘を暴き、大統領選を制した。ウクライナを数十、数百倍上回る民間人犠牲者を出しているネタニヤフ・イスラエル政権のガザ攻撃を支援したバイデン構文のダブルスタンダードには米国人も辟易している。
ウクライナで代理戦争を仕掛けたバイデン構文には隠れた狙いがあった。いわゆる価値観外交で同志国を募り、NATO東方拡大政策をウクライナ、さらにロシアまで広げ、「唯一最大の競争者」と位置付ける中国包囲網を完成せんとしたのである。ソ連崩壊による東西冷戦終結を米国一極主義で締めくくるバイデンの執念であった。フランシス・フクシマは「民主主義の勝利で歴史は終わり」と米国流民主主義を持ち上げたが、上院議員、副大統領として長く対ソ・対中外交に携わっていたバイデンもその気分に酔っていた。
だが、滅んだはずの社会主義再建に邁進する強力なライバルが現れた。鄧小平の改革開放路線はバイデンが期待した資本主義への道ではなく、「社会主義現代化強国路線」であることを習近平が宣言し、「一帯一路」で世界に広げていることに驚愕、裏切られたと逆恨みを昂じさせる。私は『二人のプリンスと中国共産党』(2015年12月刊)で「米中は格差解消をキーワードにした平和的な体制競争、もしくは新たな冷戦に直面する」と予測したが、不幸にもバイデン大統領誕生で後者が的中し、ウクライナ戦争となって噴き出した。
バイデンは開戦当初、プーチンをまんまと罠に誘い込んだとほくそ笑んだが、プーチンが長年温めていた資源外交に決め手と信じた経済制裁は空回りし、中ロ朝を反米覇権主義で急接近させる戦略的なミスを招いて自滅する結果となった。
プーチンが「ロシアは本物の主権国家になった」と感慨を込めたのは、ゴルバチョフ共産党書記長の独断的なペレストロイカの失敗と混乱で自壊した旧ソ連のトラウマを完全に払拭した高揚感からである。
私は偶然、ゴルバチョフがクーデターでクリミア半島に軟禁された直後の1991年8月中旬、モスクワのクレムリン宮殿の前庭に迷い込み、人っ子一人いない光景に「権力の空白とは中枢部から人がいなくなることだ」と実感させられた。KGB中佐として東奔西走していたプーチンと同じ状況を目撃したわけであるが、好奇心旺盛な一旅行者に過ぎなかった私と異なり、彼は臥薪嘗胆し、見事に「権力の空白」を自ら埋め、ゴルバチョフの失敗を清算する。すなわち、東西連戦終結の裏で旧ソ連圏、東欧で米欧が後押しするカラー革命が仕組まれ、主権はなきに等しくなった。それがウクライナに及んだ時、プーチンは意を決して押し返し、終止符を打った。つまり、「主権を回復した」。
「ソ連共産党の党員証を今も保持している」が口癖だが、社会主義・共産主義再建への歴史的な問題意識と志向性は習近平と全く同じと読める。ソ連崩壊で終わったとされた東西冷戦が社会主義圏復活というモーメントにより新たなステージに入りつつあることは間違いないだろう。
ほんの少し前まで、ウクライナ戦争の帰趨は世界秩序を根底から変えると西側言論は口酸っぱく繰り返してきた。ロシアの敗北を見据えた楽観論であったが、さすがに今はすっかりトーンが落ち、悲観論が混じる。「歴史は終わり」と思考停止に陥った付けが回ってきたのであるが、曲学阿世の愚論とまではいわないが、左右、保守革新問わず愚痴やボヤキに埋め尽くされた西側言論の質の低下は目に余るものがある。ポピュリズムのSNSフェイクニュースにまで押され、新聞、雑誌、テレビ離れの一因ともなっている。
G8の末席に座らされた屈辱から、G2プラスへ
クレムリン宮殿から警備兵がいなくなり、一旅行者の彷徨を許した「権力の空白」を埋めたのはエリツインである。実権を失ったゴルバチョフに代わってクレムリンの主人となり、改革の旗印でペレストロイカまがいを進めるが、国有財産を一部の取り巻き→オリガルヒに分け与えるなど、旧ソ連圏の混迷は深まるばかりであった。その一方でG7に擦り寄る。日本外務省が今年12月26日に公開した外交記録によると、1993年7月のG7東京サミットが迫る中、ロシア大統領エリツィンが議長の宮澤喜一首相に「極秘 無期限」文書(6月25日付)を送り、「ロシア改革支援のために極めて重要」として「8カ国による東京政治宣言の採択」を求めた。つまり、G7への加入を求めたのである。
ロシアのG8加入は1997年、米国デンバーにクリントン大統領がエリツインを招いて実現するが、エリツインの側近として権力ナンバー2の地位にあったプーチンには腸が煮えくり返る思いであったろう。ナチス打倒の先頭に立ち、第二次世界大戦後の世界で米国と覇を競ったソ連がなぜ米国などの機嫌をうかがい、G8の末席に座らねばならないのか、と。
ソ連のエリート、誇り高いKGB中佐であったプーチンはひたすら汚名挽回の機会を窺う。その間、大学に再度足を運び、天然ガス、原油など世界有数の資源大国ロシアの特性を生かした新外交戦略を練り上げる学位論文をものにしているが、それが後にG7の対ロ経済制裁を跳ね返す理論的な下準備となる。
臥薪嘗胆うん十年、エリツインの後継者に収まったプーチンは積年の思いを徐々に政策に反映させ、2014年のウクライナのクリミア併合でG7と袂を分かつ。さらに、ワルシャワ機構と同時解体するはずであったNATOが旧ソ連の裏庭であった東欧に拡大し、バイデン大統領となってウクライナにまで触手を伸ばすと怒りを一挙に噴出させる。「特別軍事作戦」はバイデンへの挑戦状であり、それに従うG7への警告状であったが、西側の経済的、政治的弱点を攻める資源戦略を練っていたプーチンに軍配が上がる。バイデンは「ウクライナ戦争はバイデンの戦争」と批判の声を上げたトランプに惨めに政権を追われ、その他のG7首脳もウクライナ・ドミノでことごとく政変に見舞われ、世界は勝者が誰で、敗者が誰かを目の当たりにしている。
プーチンは「仮にウクライナ侵攻を始めた2022年2月よりも前に戻ることができた場合、侵攻の決定を変えるか」と記者に問われ、「今起きていることを考えれば、もっと早く決断すべきだった」と言い切った。蓋し、むべなるかなである。
ウクライナでの戦況については、「前線に沿って各地で動きがある。100メートル進んだとか、200メートル、300メートル前進したということではない。我が軍の兵士は日々、数平方キロの領土を奪取、奪還している」と、近い勝利に自信を示した。
「特別な準備をせずに始めた」とやや自嘲的に頓挫した初戦を振り返り、長き友軍であったウクライナ軍の投降を期待して、軍事パレードのように大軍を動かしたためであったと率直に認めた。そのうえで「冗談を言うことが少なくなり、あまり笑うことがなくなった」と幻想を捨て去った気構えを披瀝し、侵攻から3年を迎える来年2月までには「目標達成に向け前進している。勝利する」と自信を示した。クルスク州は欧米製兵器の「世界最大の墓場」になっているとし、一部実戦投入した新型の極超音速の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」は「撃墜は不可能だ。キーウに目標を設定する実験の用意ができている」と旧ソ連時代の軍事的優位を彷彿させる言辞で米欧を牽制した。それはロシア国民に大国復活を確信させるもので、さる3月のロシア大統領選挙で80%の支持を得て5選を果たしたのも、ソ連崩壊で傷ついたロシア国民のプライドを取り戻し絶大な支持を集めたからにほかならない。
その背景に、『ウクライナ戦争と日本有事』で指摘した朝鮮との新軍事協力があることはもはや誰の目にも明らかである。ウクライナ戦争が消耗戦に突入し、米国防省すら「在庫がない」と悲鳴を上げていた最中の昨年7月、ショルグ国防相(当時)が電撃訪朝した。それを機に、金日成主席時代から経済と軍事の併進路線を取ってきた世界有数の軍需大国・朝鮮の弾薬、重砲、ミサイルがシベリア鉄道でロシアに大量に供給され、膠着状態に陥っていたウクライナ戦線がロシア有利に大きく傾く。
私は同書でソ連全盛時代の旧ロ朝友好協力相互援助条約が蘇り、「朝鮮軍派兵も十分にありうる」と書いたが、その通りとなった。その呼び水となったのがウクライナのゼレンスキー大統領の冒険である。形勢逆転の一発勝負を狙ってロシア南西部クルスク州への越境攻撃を仕掛けたが、逆にロ朝に「包括的戦略パートナシップ条約」を結ばせ、同4条の相互自動介入条項に基づいて最大20万の朝鮮軍特殊部隊が随時派兵される道を開いた。事実上、新冷戦が幕を開けたのである。
クルスク州がウクライナ戦争の天王山となり、プーチン大統領はウクライナ軍を「絶対に追い出す」と自信を示した。反対に半パニックに陥ったのがゼレンスキーで、元コメディアンの地を出す。「重症の北朝鮮捕虜(写真)が自殺した」と捏造の疑い濃厚な「遺書」まで作り上げ、捕虜虐待を疑わしめる下手なドラマ仕立ての反北朝鮮キャンペーンを繰り広げ、レームダック化したバイデン政権のカービー広報補佐官までしゃなり出て、「北朝鮮兵の死傷者数が過去1週間だけで1千人に上る」、「捕虜になると家族が報復されるので降伏するよりも自ら命を絶つ」と旧日本軍と勘違いした下手なコメントで側面支援した。国際社会の嘲笑を買い、北朝鮮国民の怒りを沸騰させるだろう。
カービーらの狙いを推し量るのはそう難しいことではなく、来年1月20日のトランプ新大統領就任前に米国とロ朝の対立を極力煽り、ウクライナ和平協議や朝米首脳会談に障害を作ろうとしているのであろう。しかし、最後のあがき以上のものではありえない。プーチン大統領はトランプ次期大統領とは4年以上言葉を交わしていないとしつつ、「協議する用意がある」と明らかにした。両者は「バイデンの戦争」との認識を共有しており、すでに水面下でウクライナ戦争終結に向けた調整が行われていると考えられる。
現代史の裂け目から忽然と登場したのが金正恩・朝鮮労働党総書記である。ほんの少し前までは極東の異端児でしかなかったが、消耗戦に入ったウクライナの戦況を見据えながらプーチン大統領に急接近した。請われるままに弾薬、ミサイルからドローンまで大量供給して天下分け目の戦争に大きな影響を与え、国際政治の表舞台に躍り出た。伏兵に驚愕したのがほかでもない米国で、国務省が衛星を通じてコンテナ千個、1万個と北朝鮮から鉄道で運ばれる軍需物資の動向を逐次、発表した。制裁違反云々と警告したつもりであったろうが、金正恩は歯牙にもかけず、その数は直近の米発表で2万個にも達した。米国の誤算は、世界有数の軍需産業を敵に回したことにあった。200にも達する地下軍需工場は私が80年代に見学した時は非効率そのもので、民生を圧迫し経済の足枷となっていたが、ウクライナ戦争で一転、強烈な存在感を発揮している。
ブルームバーグは年末、「クルスク州で北朝鮮兵と戦うウクライナ兵が数千人死傷した」と米国務省筋の情報で報じている。北朝鮮バッシング一色の中でこうした情報が漏れてくるのは極めて珍しいが、トランプ新政権誕生を見据えた動きともとれる。同州に越境攻撃したウクライナ軍は2万人であり、そのうちの「数千人」だから相当なダメージとなる。また、ロシアの現地軍事ブロガーは北朝鮮軍参戦がロシア軍のローテーションを助けていると報じた。すなわち、クルスク州に急派され、ウクライナ軍を国境地帯の650平方kmに追い詰め、主突出部の北西周縁で戦ってきたロシア海軍第810独立親衛海軍歩兵旅団が4カ月たってようやく南東周縁のプリョーホボ村に移って野営する。そこは昨年12月上旬、北朝鮮軍第11軍団がウクライナ軍から奪還した激戦地であった。つまり、1万2千とされる北朝鮮軍参戦で第810旅団の兵士たちは休息を取れることになったということである。 同旅団は第155独立親衛海軍歩兵旅団とともにクルスク州の反攻で主力を担っているが、北朝鮮軍の支援を得て休息、補充しながら戦闘を継続することが可能になったということである。他方のウクライナ軍は応援部隊ゼロで休息も取れず、弾薬、食糧も足りない塹壕深くで厳寒に震えている。隣のドネツク州の最後の要衝ポクロフスクもロシア軍猛攻で陥落寸前、勝敗は時間の問題と言える。
ウクライナ戦争でのロシア支援はウクライナ特需を北朝鮮にもたらして経済力を復興させ、東アジア情勢にも地政学的なインパクトを与えつつある。年間数十億、数百億ドルの莫大なウクライナ特需は北経済を確実に蘇らせており、日本経済の戦後復興のカンフル剤となった朝鮮戦争特需を彷彿させる。また、ロシア西南部のクルスク州への派兵は無論、無償ではなく、兵一人当日本円で年間700万円前後の対価を伴い、韓国経済浮揚の一要因となったベトナム派兵効果を想起させる。韓国銀行推計で朝鮮の昨年の経済成長率は3・1%であったが、ウクライナ特需が倍加した今年は6~8%、最大10%台もありうる。北経済が上昇期に入ったことは紛れもない事実であり、労働党機関紙・労働新聞は連日、全国各地に麺工場が新設され、食糧問題を解決する「農村中興」を起きていると報じている。今年北東部で大洪水被害があったが、最近、金正恩が小青年時代を過ごしたスイスに似たカラフルな数千戸分の住宅が供給されたと報じられた。一年経っても仮設住宅で住民が不自由している日本の能登半島災害地よりもはるかに効率的な復旧が進んでいることを物語る。金正恩総書記は観光立国にも力を入れ始め、朝鮮中央通信などが大晦日の12月31日、「金正恩総書記が整備が完工した葛麻(カツマ)海岸観光地区を29日に視察し、『重要な対外事業や政治、文化行事を催すことができるレベルだ。地方振興と国の経済成長を進める動力だ』と述べし、世界水準接客専門家育成を指示し、環境保護の重要性にも言及した」と伝えた。夏季の保養地、海水浴場、景勝地として親しまれてきた明沙十里(ミョンサシプリ)という長い砂浜一帯に韓国釜山市の海雲台を意識したように洒落たホテル、スポーツ、レジャー施設が立ち並び、2025年6月に開業する。松涛園(ソンドウォン)と隣接し、天下の景勝地、金剛山へは120kmで、一大スキー場のある馬息嶺(マシンリョン)も交通圏にある。世界的なコロナパンデミック予防で観光客の入国をストップさせていたが、すでにロシアの観光団が入っており、新年前半には中国からも鴨緑江新橋開通とともに入ってくるだろう。新潟港など裏日本とは一衣帯水で、国際空港も整備拡充された。
朝鮮の急速な国力回復、伸長はウクライナ情勢とともに東アジアに大きな地政学的な影響を与えており、今後も一段と強まるだろう。新年早々、トランプ・プーチン会談に並行してトランプ・金正恩会談が日程に上がってくるであろうが、第4次会談は国交正常化、軍縮交渉の場となろう。非核の枠組みにこだわって3次までもつれさせたポンぺオ元国務長官、ボルトン補佐官らが新トランプ人事から外されていることがそれを示唆する。
石破新政権もいつまでももたついている場合ではない。バイデン、岸田、ユンの個人的関係で結ばれた韓米・日韓安保協力体制が3人の退場で真夏の夢となり、日本は独力で中露朝と対峙する。いつ日本有事が起きても不思議ではない不安定な状況に置かれているということである。有力な打開策の一つが日朝首脳会談である。石破首相は無条件対話再開を最優先し、ピョンヤンと東京での連絡事務所設置を朝鮮側に提案したが、ホップになりうる。
プーチン大統領はウクライナとの和平協議について「我々は常に、協議と妥協の用意がある」と柔軟性を見せながらも、NATO不加盟と中立化は絶対条件とする。また、大統領任期が今年5月で終了し、戒厳令で居座っているゼレンスキーとの交渉が可能になるのは「選挙で再選された場合だけだ」と厳しい条件を科した。米欧が支援したカラー革命で誕生した「外国の代理人」との認識を変えておらず、長い戦争に疲弊したウクライナ国民もゼレンスキーに対してネオナチのアゾフ軍団との関係や不正蓄財に厳しい目を向けつつある。
ウクライナ戦争のロシア勝利の展開はソ連崩壊後の流れを逆転させるだろう。それはすでに欧州社会に強烈なインパクトを及ぼしており、英国、フランス、ドイツなどバイデンに協力したG7の政権は軒並み政治的危機に陥る。他方で、旧東欧のハンガリー、スロバキア、セルビア、ルーマニアなどでロシアに再接近する動きが顕在化している。
ウクライナ戦争のロシア勝利の展開はソ連崩壊後の流れを逆転させるだろう。それはすでに欧州社会に強烈なインパクトを及ぼしており、英国、フランス、ドイツなどバイデンに協力したG7の政権は軒並み政治的危機に陥る。他方で、旧東欧のハンガリー、スロバキア、セルビア、ルーマニアなどでロシアに再接近する動きが顕在化している。
ある意味でキャスティングボードを握るのは中国であり、習近平主席は早くから和平案を提示し、BRICSや上海機構を中心にグローバルサウスに支持を広げている。
ウクライナ戦争で漁夫の利を得た中国の国際的な影響力は米国をしのぐものがあり、ロシア、朝鮮との緊密な関係を推力に、オバマ政権時に一度は合意を見た米中新型大国関係(G2)を現実化させていくだろう。そこにいずれロシアが加わるであろうが、バイデンが最も恐れた事態である。
(河信基 2024年12月31日)
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